【ハマりすぎ危険】マイケルジャクソンのアルバム「デンジャラス」の魅力4つ

こんにちは。あおありです。

この記事では、1991年に発表されたマイケルジャクソンのアルバム”Dangerous” の魅力を4つに分けて紹介します。

私は約20年間このアルバムが世界で一番好きで、何度聞いても新鮮な発見があります。

制作する際に「1000年後も聞かれるアルバム」を目指しただけあり、完成度が抜群に高いです。

\ Dangerousはこんなアルバム /

  • マイケルのエッセンスが凝縮されている。
  • 奥行き深い迷宮
  • 映画のように世界観が統一されている

以前の作品 “Thriller”や”Bad”と比較して知名度は低いものの、Dangerousには他にはない強い魅力があるので、もっと多くの人に楽しんで欲しいです。

今回紹介するDangerousの魅力は以下の4つです。

Dangerousの魅力4つ
  • 深く切り込んだテーマ
  • ストーリー性がある
  • 七変化するパフォーマンス
  • マイケルの主体性が強い

順番に詳しく説明します。

深く切り込んだテーマに挑戦したデンジャラス

Dangerousの世界は壮大で、ポップミュージックの枠を超えています

77分の収録時間に、名画とかミュージカルのような壮大な世界が広がっています。

聞いていると「人生とは、人間とは、世界とは、神とは…」といった思いが、とりとめもなくグルグル周ります。

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果てしない宇宙のように広い世界、抜け出せない迷宮のように入り組んだ世界がDangerousです。

そんなDangerousで表現されているテーマを4つに分けました。

Dangerousのテーマ4つ
  • より広い世界、より深い内面
  • 生と死
  • 性と暴力
  • 光と影

より広い世界、より深い内面

Dangerousでは、社会が抱えるあらゆる問題を広く取り上げています。

その一方で、心の奥底にある、祈り、欲望、憤り、悲しみ、不安、疑いを包み隠さずさらけ出しています。

さらに、内にある感情を深く掘り下げていった結果、普遍的な祈りや救いに行き着く「超越」も描かれています。

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外側と内側、両方の世界がアルバムの中で複雑に入り混じり、小さい宇宙のような不思議な世界を形成しています。

Jam, Why You Wanna Trip On Me, Heal The World, Black Or White, Gone Too Soonでは、戦争、貧困、教育、エイズ、性的搾取、警察の汚職、人種差別、環境問題について言及しています。

世界の抱えるあらゆる問題をしっかりと認識し、みんなで取り組もうという力強いメッセージが伝わります。

Nation to nation
All the world must come together
Face the problems that we see
Then maybe somehow we can work it out

国境を越えて 世界全体が協力しなければいけない
みんなで目の前の問題に取り組めば
なんとか解決できるかもしれない

Jamの歌詞

アルバム後半の曲では、個人的な感情を打ちあけています

Who Is It, Give In To Meは、上手くいかない恋愛関係の孤独や苦しみがテーマです。

Keep The Faithは、自分の弱さに打ち勝って、信念を貫き続ける孤独な戦いを描いています。

Gone Too Soonでは、素晴らしい友人があまりにも早くこの世を去ってしまった悲しみを表現しています。

さらに、心の奥底を果てしなく探求した結果、時間も場所も超えた世界へ「超越」する場面もあります。

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Heal The Worldでは、「より良い世界を作りたい」というマイケルの願いが、曲の後半で波紋のように世界中に広がって、マイケルの次の世代へ受け継がれていくストーリーが描かれています。

Will You Be Thereでは生身の人間に備わる不安や混乱が、見えない偉大な力に包まれ、昇華されます。

生と死

Dangerous内の楽曲では、明確に「死」を取り上げています。

Gone Too Soonでは、エイズが原因で10代で亡くなった、友人であるライアンホワイト君への想いを歌っています。

Jamでは、「人生のタイムリミット」に対する焦りが見てとれます。

自分に残された時間が有限だからこそ、懸命に生きて行こうと呼びかけています。

We must live each day like it’s the last

我々は毎日を「人生最後の日」のように生きなければいけない

Jamの歌詞より

Heal The Worldでは、「もっと良い世界を作って、次の世代へ手渡そう。そのために、毎日しっかり生きていこう」と呼びかけています。

stop existing and start living

ただ「存在するだけ」をやめて、「生きる」ことを始めよう

Save it for our children

子供たちのために、地球を守ろう

Heal The Worldの歌詞より

性と暴力

人種も年齢も幅広いファンを獲得したいマイケルは、タブー視されがちな「性と暴力」に関する露骨な表現を控えてきました。

しかしDangerousでは、より開放的で大胆になっています。

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強く批判されるリスクや、子供をもつ親達の支持を失う覚悟で新しい領域に踏み込んでいます。

In The Closet, Give In To Meは、「明るくてロマンチックなラブソング」の領域を超えて、「衝動、欲望、肉体的な快楽」にフォーカスしています。

The truth of lust woman to man

女性から男性への欲望の真実

Touch me there, make your move, set me free

私を触って こっちに来て 私を解放して

If you want it , then won’t you taste it

欲しいなら 味わえばいいのさ

Cause if it’s aching, you have to rub it

痛いところは 撫でてあげなきゃ

In The Closetの歌詞より

リンク In The Closet の歌詞について

love is a woman

愛は女だ

Quench my desire

僕の欲望を鎮めてくれ

Give it to the feeling

その感覚を僕にくれ

Give In To Meの歌詞より

マイケルは、世界中に平和と友好を呼びかける一方で、強い攻撃性や衝動性をあらわにしています。

曲中のあらゆる箇所でガラスの割れる音や衝撃音が響きます。

放送直後から強い批判を浴びたBlack Or Whiteのビデオ後半で、マイケルは町中のガラスを力一杯叩き割ります。

実は、マイケルお気に入りの「ある言葉」から、マイケルの心に「刺激的な作品で視聴者の心をメッタ刺しにしてやりたい」という暴力的な欲望が潜んでいたことが推測できます。

マイケルはDangerousを制作するにあたり、信頼するエンジニアのブラッド・バクスターに対してこう言いました。

“Often, he [would say], ‘Brad, get me a sound that hurts really bad.’ That meant he wanted something that shakes him inside.”

マイケルはよくこう言った。「ブラッド、酷く傷つく(hurts really bad)サウンドを僕にくれ」つまり、彼の心を揺さぶる何かを欲しがっていたんだ。

Joseph Vogel , Man in the Music (p.220)

“Hurt”は本来「傷つける」という意味ですが、マイケルにとってこれは「最高の褒め言葉」でした。

マイケルのスタイリストを長年務めたマイケル・ブッシュは、著書King Of Style中でこう言っています。

“Hurt me!” he exclaimed, which, in Michael’s language, meant he was elated

「やられた!(Hurt me)」と彼は叫んだ。これは彼の中では、すごく喜んでいるという意味だ。

Michael Bush, King Of Style

Dangerousの楽曲 Give In To Meの歌詞に、

It seems you get your kicks from hurting me

君は僕を痛めつけて楽しんでるんだろ

という部分がありますが、視聴者を傷つけて楽しんでいるのはマイケルでもあるのです。

光と影

華々しく、ポップでキャッチーに始まるDangerousに、「孤独、不安、怒り、裏切り」といった薄暗く冷たい影が全体を覆います。

真っ暗闇に落ちた先に、「希望、祈り、救い」といった宝石がキラキラ光ります。

このように極端な「光と影」のコントラストマイケル自身の生涯を投影しているように感じられます。

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マイケルは10代の頃から世界中で愛され、特別な存在でした。

その一方で、成功へのプレッシャー、プライバシーのない生活、彼を利用しようとして近づく人々に一生付きまとわれる孤独な運命を背負っていました。

  • 誰も持っていないものを持っている
  • 誰もが持っているものを持っていない
  • 誰にも理解されない

そんな自分の存在をまっすぐ見つめて、包み隠さず作品に投影しています。

デンジャラスはアルバム全体にストーリー性がある

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音楽を聞く時、私はお気に入りの曲を集めたプレイリストをシャッフル再生することが多いです。

しかし、Dangerousは最初から最後までオリジナルの曲順で何度もリピートしたくなります。

一つの物語のように始まり、進み、流れが切り替わり、深まり、浄化され、振り出しに戻る構成で全体としてとても味わい深いです。

対になる曲

Dangerousの中には、テーマが似ていたり、対象的な2曲がいくつも配置されています。

Jam と Why You Wanna Trip On Me

1曲目のJamで、マイケルは「世界はたくさんの問題を抱えていて、一刻の余地もない。みんなですぐに取り組まなければ」と呼びかけています。

2曲目のWhy You Wanna Trip On Meでは、「具体的にどんな問題があるか」を取り上げて、メッセージを掘り下げています。

You’ve got school teachers
Who don’t wanna teach
You’ve got grown people
Who can’t write or read
You got strange diseases
Ah but there’s no cure
You got many doctors
That aren’t so sure

教えたがらない学校教師がいる
成長しても読み書きができない人がいる
治療法のない妙な病気になる人がいる
どうしたらいいかわからない医者がたくさんいる

Why You Wanna Trip On Meの歌詞より

She Drives Me Wild と Can’t Let Her Get Away

She Drives Me WildCan’t Let Her Get Awayは、「新しくて面白い音作りの実験」です。

She Drives Me Wildでは、マイケルとプロデューサーのテディーライリーが録音機を持って外に出て、車から出る様々な音を録音してミックスしました。

Can’t Let Here Get Awayでは、なんとラップにチャレンジしています。ほとんど知られていない曲ですが、マイケルのラップはかなり貴重です。

“Can’t Let Her Get Away” represents Jackson taking risks. It wasn’t intended to be a hit; it was intended to explore and experiment with a different sound and style.

“Can’t Let Her Get Away”は、ジャクソンがリスクを取っていることを示している。ヒットソングにする意図はない。今までと違うサウンドとスタイルを探求し、実験するための曲だ。

Joseph Vogel, Man in the Music p,249

In The Closet と Give In To Me

In The Closetは、女性から男性への欲望をテーマにしています。

Give In To Meでは逆に、一方的に女性を渇望する男性の歌です。

ベクトルは反対向きですが、2曲とも大胆でセクシーです。

リンク In The Closet のまとめ記事

Heal The World と Black Or White

より良い世界を呼びかけるHeal The Worldと、人種差別に徹底攻撃するBlack Or White

どちらもアルバムの中核となる、強力なメッセージソングです。

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しかし、サウンドは対象的でメリハリがあります。

Heal The Worldは、ブルース・スウェーデンがプロデュースした繊細でファンタジックなサウンドです。

Black Or Whiteはビル・ボットレルがプロデュースしたシンプルでラフなサウンドです。

リンク Black Or Whiteのまとめ記事

Why You Wanna Trip On Me と Black Or White

Why You Wanna Trip On MeBlack Or Whiteは、表のメッセージ(社会的な意見)と、裏のメッセージ(個人的な訴え)が込められた曲です。

Why You Wanna Trip On Me

表のメッセージ
貧困、飢餓、教育格差、新たな感染症、薬物依存、警察の腐敗、売春などの社会問題に目を向けよう

裏のメッセージ
世の中にはもっと大事なことがあるのだから、僕にちょっかいを出すのをいい加減にやめてくれ

Black Or White

表のメッセージ
有色人種差別への抗議

裏のメッセージ
僕の恋人が黒人か白人かなんていう、くだらない噂話をするのをやめてくれ

当時は、マイケルの作品そっちのけで毎日のようにでっちあげのゴシップが報道されていました

  • 酸素カプセルの中で寝ている
  • 女性ホルモンの注射をしている
  • 隠し子がいる
  • 白人になろうとしている
  • エレファントマンの骨を買った

誰かが思いついた数えきれないほどの作り話が新聞や雑誌に掲載されていたのです。

仕事でもプライベートでも常にカメラに追われ、見ず知らずの人から不快な質問をされる日々。

そんな状況にうんざりのマイケルは「僕のことをほっといてくれ。くだらないゴシップじゃなくて僕の本質的な部分を見てくれ。」という気持ちを歌に書いています。

Who Is It と Give In To Me

Who Is ItGive In To Meでは、上手くいかない男女関係への苛立ち、苦しみ、悲しみを表現するダークな曲です。

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Will You Be There と Keep The Faith

Will You Be ThereKeep The Faithは、壮大なゴスペルソングで心が洗われる名曲です。

リンク Will You Be Thereおすすめライブ3つKeep The Faithが心に刺さる理由

全体の流れ

アルバムDangerousは「ガラスが割れる音」でスタートします。「これまでの自分を抜け出して前へ進んでいく」という宣言です。

JamWhy You Wanna Trip On Me世界中に目を向けたかと思えば、In The Closetで急に「秘められた男女関係」にアングルが切り替わります。

実験的なサウンドShe Drives Me WildCan’t Let Her Get Awayの間に、キャッチーでロマンチックでスムーズRemember The Timeの存在が光ります。

Can’t Let Her Get AwayからHeal The World切り替えはドラマチックです。テディー・ライリーがプロデュースした新鮮で刺激的なサウンドから、ブルース・スウェーデンがプロデュースしたリッチで幻想的なサウンドに切り替わります。

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ここからアルバム後半です。

Heal The WorldBlack Or White強力なメッセージを伝えたあと、Who Is ItGive In To Me孤独な病みモードに突入します。

Will You Be There雨が止み、光が刺し、パワフルなKeep The Faithドラマチックに畳み掛けます。

Gone Too Soonで静かに友人を偲んだ後、再びダークで尖ったDangerousで幕を閉じます。

the title track brings the album full circle.

タイトル曲(Dangerous) でこのアルバムは振り出しに戻る

Joseph Vogel. Man in the Music (p.249).

綺麗なバラードで無難に終わらずに、危険で怪しい曲を最後に持ってくることで、冒頭のJamとつながっているのです。

七変化するマイケルのパフォーマンス

デンジャラスの世界は、アルバム発売後もどんどん進化します。

マイケルの最大の武器は、全人類の視線を惹きつけるパフォーマンス!

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クリエイティブなダンス、衣装、ミュージックビデオ、舞台演出で、曲のイメージを2次元、3次元にどんどん広げていきます。

ショートフィルム(ミュージックビデオ)

マイケルジャクソンは、ミュージックビデオを「ショートフイルム」と呼んでいました。

販売促進目的のイメージ映像でなく、映画のように完成度が高い芸術作品を常に求めていたのです。

印象的でハイレベルなダンス、豪華すぎる共演者,最新の映像技術などを盛り込んで、何度見ても楽しめるショートフイルムを多数送り出しました。

Black Or White

Black Or Whiteのショートフィルム

映画「ホームアローン」に出演した有名子役、マコーレ・カルキンを中心とした可愛いホームドラマで始まります。

音楽が始まると、世界の様々な地域のダンスが披露されます。曲の終わりで多様な人種の顔がモーフィングで切り替わっていくシーンがあります。

見た目も文化も違うけど、全部素晴らしい。根本的には同じ人間

というメッセージを表現しています。

華やかな民族衣装のダンサーたちと共演するマイケルの笑顔がとても爽やかで素敵です。

曲が終わった後は、マイケルが夜の街で1人タップダンスを始めます。

この動きがすごく細かくて速くて、神業です。

徐々に怒りや苛立ちをあらわにし、ガラスを割ったり叫んだりするシーンは、これまでのマイケルのイメージと異なるものでした。

そのため、多くの視聴者にとってショッキングでもありました。

リンク Black Or Whiteのミュージックビデオについて

Jam

Jamのショートフィルム

バスケットボール界のスーパースターであるマイケルジョーダンとの共演で話題になったJamのミュージックビデオ。

バスケ、ダブルダッチ、ダンス、ラップなどのカルチャーを取り上げて、ストリートのリアルな雰囲気を伝えています。

混沌とした世界のなかで力強く生きていく若者たちのエネルギーを感じます。

マイケル・ジョーダンがダンスを、マイケルジャクソンがバスケをする可愛いシーンも見どころです。

Jamは、音楽のみ聞いたとき、ミュージックビデオ、ライブパフォーマンスで全く印象が変わる面白い曲です。

Remember The Time

Remember The Timeのショートフィルム

古代エジプトを再現したきらびやかな世界が広がるビデオです。

金色の衣装を着たマイケルはとても優美で見惚れます。

コメディー俳優エディー・マーフィー美人すぎるモデルイマンバスケットボール選手マジック・ジョンソンの3人が冒頭から出演。

3人の絶妙な表情の演技も面白く、見入ってしまいます。

ダンスパートでは、古代エジプトの象形文字を手の形で模倣する動きがルーツの「タッティング」が取り入れられています。

マイケルの新しいダンススタイルも楽しめるビデオです。

In The Closet

In The Closetのショートフィルム

写真家のハーブ・リッツを監督に起用し、セピア調でオシャレ、アンニュイでミステリアスIn The Closetのビデオ。

スーパーモデルのナオミ・キャンベルと共演し、2人の引き締まったボディーが際立ちます。

マイケルに負けないオーラのナオミ、ナオミに負けないスタイルのマイケルはどちらもすごい!

オールバックでタンクトップ1枚というマイケルのルックスが新鮮でした。

リンク In The Closetのショートフィルムについて

スーパーボウルなどのテレビ出演

テレビ出演もマイケルにとって重要なイベントです。

初めてムーンウォークを披露したのも、テレビ番組のパフォーマンスでした。

何万人、何億人という視聴者が注目するなか、魂のこもった伝説的なパフォーマンスをいくつも披露しています。

第27回 スーパーボウルハーフタイムショー (1993年)

スーパーボウルは、1年で最も盛り上がるアメリカンフットボールの試合です。

世界中から注目が集まる試合のハーフタイムに、マイケルが登場し伝説的なステージを披露しました。

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Jamで火花と共に華やかに登場。

Black Or White,Billie Jeanで観客を沸かせます。

ラストは、世界の平和を願うスピーチの後にHeal The Worldを大勢の子供たちと合唱しました。

今でこそ「アーティスト達にとって憧れのステージ」になっているスーパーボウルハーフタイムショーですが、

昔は試合の内容だけが視聴者に注目され、ハーフタイム中はテレビの視聴率が落ちてしまう状態で、放送局は悩んでいました。

この「空白時間」を一大イベントに変えたきっかけがマイケルと言われています。

マイケルの出演でハーフタイムの視聴率が格段に上がり、その後も大物アーティストを起用する流れになりました。

MTV10周年記念スペシャル 

この番組が放送されたのは、Dangerous発売日の翌日

初動売上を上げるために重要なイベントで、マイケルの気合いが感じられるステージです。

選ばれた曲はBlack Or WhiteWill You Be There

Black Or Whiteで人気ギタリストのスラッシュと共演し、ロックスターのように激しく踊ります。

Will You Be Thereが始まると、静かで荘厳な空気に切り替わります。

多数のダンサーと共にミュージカルのクライマックスのように豪華なパフォーマンスを披露します。

ゆっくり優しく語りかけるような美しいダンスは、これまでとは違う新しいスタイルで新鮮です。

ラストは全身金色の天使が空から降りてきてマイケルを抱きしめます。

最初から最後まで見どころ満載のライブです。

Will You Be Thereのパフォーマンスは、DANGEROUS~ザ・ショート・フィルム・コレクションに一部収録されています。

リンク MTV10thパフォーマンスについて

アメリカン・ミュージック・アワード 1993年

アルバム収録曲のショートフィルムやパフォーマンスも多数発表され、ワールドツアーも順調に進行していた1993年1月。マイケルはまだ起爆剤を用意していた

番組のオープニングでタイトル曲Dangerousを披露しました。

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一言でいうと、死ぬほどかっこいい。

スーツでバシッと決めた群舞で、ギャングスタやスパイの世界を思わせるダークで怪しげなステージ。

Smooth Criminalのイメージに近いけど、こちらはもっとペースダウンして、重さと威厳があります。

この日のパフォーマンスは公式販売されていませんが、1995年のMTVミュージックアワードのパフォーマンスヒストリー・オン・フィルム VOLUME IIで見られます。

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こちらのパフォーマンスはさらにクオリティーがアップしています。バチバチにダンサーの動きが揃ってて緊張感があり、圧倒されます。

イモータルのサウンドトラックには、ライブで使用されるデンジャラス音源のイメージに近いリミックスが収録されていて、おすすめです。

ワールドツアー

マイケルチームは1992年から1993年にかけてデンジャラス・ワールド・ツアーを行い、世界中のファンに向けて最高のパフォーマンスを届けました。

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何万人もの観客の熱気を感じながら歌い踊るマイケルはとてもエネルギッシュで幸せそう。

マジックを使った舞台演出など、ワールドツアーならではの見どころがたくさんあります。

マイケルは世界を周って過密な公演をこなすだけでなく、合間の時間に各地域の病院などを訪れ、慈善事業を同時に行っていました。

1993年9月、マイケルジャクソンはデンジャラスワールドツアーのイスラエル公演の最中にTel Avivの元を訪れた。公演が無い日を、近隣の子供病院でがんの患者、臓器移植の患者を励まして過ごした。

数ある公演のなかで、ルーマニアの首都「ブカレスト」の公演が公式発売されています。

マイケルの公式Youtubeチャンネルでもこの公演映像がフルで公開されています。

デンジャラスはマイケルの主体性が強い作品

Dangerousでは、マイケルが何を考えてるか、何に怒りを感じるのか、どんな理想を持っているか、何をしたいかがはっきりと描かれています。

マイケルの個人的な意見や感情をダイレクトに感じられるのが大きな魅力です。

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アルバムBadがリリースされてからDangerousを制作するまでの間に、マイケルは30歳を迎えました。

この間、仕事でもプライベートでも大きなターニングポイントを経験しました。

  • 大物プロデューサー、クインシー・ジョーンズとのコンビ解消
  • ネバーランド(マイホーム)を購入
  • 宗教団体「エホバの証人」からの脱退

成熟したマイケルはもはや「若い青年」ではなく、一層主体的になります。

Dangerousの楽曲には、批判や拒絶を覚悟した上で、「自分がやりたい表現」を追い求める姿勢が現れています。

大御所プロデューサー「クインシー」から離れ、自分がボスになる

20代のマイケルが発表したアルバムはOff The Wall, Thriller, Badの3つです。

音楽界の大御所であるクインシー・ジョーンズがプロデュースしたこの3作で、マイケルは世界的なスーパースターに成長しました。

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しかしマイケルはクインシーの元を離れ、テディー・ライリー、ブルース・スウェーデン、ビル・ボットレルの3人をDangerousのプロデューサーに選びます。

そしてマイケル自身が3人を統括するメインプロデューサーになります。(CDには”Executive Producer”と表記されています)

個性的な3人の良さを引き出すことでバリエーションが広がり、飽きの来ない奥行き深いアルバムができました。
さらに、全ての曲にマイケルの手が入ることで、ゴチャゴチャにならずに統一感が生まれました。

Michael wanted to control the creative process from A to Z. Simply put, he wanted to be his own boss. (musician/recording engineer Brad Buxer)

マイケルは制作の過程を1から10まで管理したかった。要するに、自分自身のボスになりたかったんだ。 (音楽家/レコーディングエンジニア ブラッドバクスター)

Joseph Vogel. Man in the Music (p.212)

テディー・ライリー、ブルース・スウェーデン、ビル・ボットレルがプロデュースした曲は以下の通りです。

テディー・ライリーのプロデュース
  • Jam
  • Why You Wanna Trip On Me
  • She Drives Me Wild
  • Remember The Time
  • Can’t Let Her Get Away
  • Dangerous
ブルース・スウェーデンのプロデュース
  • Jam
  • Heal The World
  • Will You Be There
  • Keep The Faith
  • Gone Too Soon
ビル・ボットレルのプロデュース
  • Black Or White
  • Who Is It
  • Give In To Me

3人のプロデューサーを簡単に紹介します。

テディー・ライリー

テディーがマイケルに声をかけられたのは、まだ23歳の時でした。

新しいサウンドを作るために招待された彼は、マイケルの期待にガンガン答える有能なプロデューサーでした。

テディーの凄さ
  • フレッシュ:マイケルの作品に“New Jack Swing”をはじめとした新しいサウンドを取り入れる
  • 柔軟:マイケルの好みを把握して対応できる。他のプロデューサーと合同で仕事ができる。
  • パッション:マイケルと同じ熱量で仕事ができる

“New Jack Swing”という音楽スタイルはヒップホップの1種で、いわゆる「重くてイカついラッパー」のイメージと違い、軽快でスマートなビートが特徴です。

私も詳しくないですしうまく説明できませんが、New Jack Swingの曲をたくさん聞いた結果、「ブルーノ・マーズのFinesse的なサウンド」という結論に至りました。

ブルーノ・マーズ “Finesse”

イントロの4秒にNew Jack Swingの要素が凝縮されているように感じます。

New Jack Swingは、マイケルのキラキラした声、スマートな体型、キレのあるダンスと相性が抜群です。このサウンドを取り入れることで、マイケルの良さを活かしながら、80年代と違う新鮮な作品を生み出しました。

テディーはマイケルのチームと仕事をする中で彼らのスタイルを把握し、すぐに適応しました。その場に応じて柔軟に対応できるのは能力が高い証拠ですね。

Once in the studio, the producer learned Jackson’s likes and dislikes early on and was quick to adapt his signature sound.

スタジオに入ると、テディーはマイケルの好むもの、好まないものをすぐに把握し、マイケルの特徴的なサウンドにすぐに適応した。

Joseph Vogel. Man in the Music (p.223).

初めて対面した日にヘリコプターでスタジオ近隣のホテルまで連行されたテディー。誘拐されたように始まった生活ですが、最終的にマイケルと意気投合1年以上もDangerousの制作に没頭する日々を過ごしました。

アルバム制作の締め切りが差し迫っているのに新しい曲をどんどん作ろうとするので、マイケルと一緒にマネージャーに怒られたと語っています。

“When the deadline came,” Teddy Riley told Rolling Stone, “he wanted to do more and more songs. And his manager came in there and said, ‘Teddy, you and Michael, you’re not up to your sneaky stuff. Do not write another song.’

テディー・ライリーはローリングストーン誌にこう語った。「締切を迎えた時、マイケルはもっともっと曲を作りたがった。彼のマネージャーが来てこう言ったんだ。”テディー、君とマイケル、コソコソ続けるのはもう許さない。もう新しい曲は書くな”」

Joseph Vogel. Man in the Music (p.229).

対照的な2人 – ブルース・スウェーデンとビル・ボットレル

ブルース・スウェーデンとビル・ボットレルは長年マイケルの作品に関わってきました。

「完璧主義、マキシマリスト、理論派」のブルースと、「シンプル、天才肌、感覚派」のビル

正反対の個性を持った2人の作品がアルバム後半に並び、Dangerousの奥行きがグッと深まります。

ブルースビル
完璧主義
マキシマリスト
科学者
お酒で例えるとワイン
シンプリスト
ミニマリスト
感覚派、天才肌
お酒で例えるとビール
ブルース・スウェーデンとビル・ボットレルの比較。Joseph VogelとBrad Baxterの発言より。

ブルース・スウェーデンは、一見「ユルいおじいちゃん」に見えますが、中身はキレッキレです。最高のサウンドを作るために、複雑なミックスをいつまでも試行錯誤します。

ブラッド・バクスターがIn The Studio With MJというイベントで語ったエピソードでは、設定を忘れないようにコンソールの写真を撮っていたそうです。

Off The Wallの頃から10年以上マイケルを知るブルースは、マイケルの精神的な支えにもなりました。

Keep The Faithのレコーディング中にマイケルの心が折れて大泣きしてしまったときも、ブルースがなだめて励ました結果、マイケルは再び立ち上がることが出来ました。

リンク Keep The Faithレコーディング中のエピソード

ビル・ボットレル感覚に従ってシンプルに音楽を作るスタイルです。ゴチャゴチャと音をいじくり回すことは好まないので、ブルースとは意見が合わないこともありました。

マイケルのシングル曲のなかで一番世界的に成功した”Black Or White”をプロデュースしたときも、最初に録音した声の一部を最終版まで残しました。

Dangerousはこのように個性的なプロデューサーと制作することで、新鮮かつマイケルらしい、壮大でパッション溢れる贅沢な作品になりました。

さらに、マイケルが全ての曲に携わっているので、バリエーション豊富なのに美しい統一感が生まれました。

落ち着ける場所 – ネバーランドを購入

マイケルは長い間、ロサンゼルスの豪邸に両親・兄弟と住んでいました。

Badツアーで忙しく世界を周っている最中、マイケルは弁護士に委託して、ロサンゼルスから100マイルほど離れた広大な土地を購入します。

ネバーランドと名づけられたその場所は、慌ただしい現実世界から離れた静かな空間でした。マイケルが心からリラックスして、新しいキャリアを歩む環境が整ったのです。

ネバーランドの中でマイケルは沢山のインスピレーションを得て、Heal The World, Will You Be Thereなどの美しい曲を作りました。

ネバーランドに移った時の様子をマイケルの母、キャサリンはこのように語っています。

“It was hard for me to believe,” she wrote in 1990, “that just a couple of days earlier Michael was performing in front of 133,000 screaming fans half a world away. Now it was just the two of us on a silent morning in the country. I glanced at Michael. He looked peaceful and content as he gazed into the distance, alone in his thoughts. I felt content, too, knowing that as he neared a turning point in his career, Michael had a wonderful home where he could unwind, drink in the fresh air, and map out his future.”

「信じがたいことよ。」彼女は1990年にこう書いた。
「つい数日前までマイケルは、地球の反対側で13万3000人の叫んでいるファンの前でパフォーマンスしていた。
今は私と2人きりで静かな朝を迎えている。
私はマイケルに視線を送った。彼は遠くを見て、物思いにふけって、平和で満足しているようだった。
私も満足したわ。彼はキャリアの分岐点を迎えたと知ったのよ。
マイケルは羽を伸ばせる,新鮮な空気を吸って未来を思い描ける素晴らしい家を手に入れたわ。」

Joseph Vogel. Man in the Music (p.209)

宗教団体「エホバの証人」を脱退し表現の制約が弱まる

1987年に、マイケルは「エホバの証人」という宗教団体から離脱しました。

マイケルにとって難しい決断でしたが、離脱したことで宗教上のタブーに縛られない表現ができるようになりました。

マイケルは長年、母の影響でエホバの証人として熱心に活動してきました。

しかし、信者の中にはマイケルの作品を厳しく非難する人もいました。

ビリージーンのダンスを「汚いバーレスクダンス」と言ったり、スリラーのビデオを「悪魔的」と言ったりする人が居たのです。

エホバの証人の戒律はとても厳しくアーティストとしての表現に限界が出てきました。

“When I did certain things in the past that I didn’t realize were against the religion and I was reprimanded for it, it almost destroyed me,”

(マイケルの言葉)教義に反するものではないと思っていた行いを叱責された時、心が壊れそうになった。

Joseph Vogel. Man in the Music (p.210)

マイケルは世界中の様々な価値観に触れるうちに、厳格なエホバの証人の教義に疑問を感じるようになりました。

「神様はもっと寛大なのでは?」という考え方に変化していったのです。

Dangerousと同時期に発表したDancing The Dreamという詩集には「マイケルの考える神様の姿」が詳しく書かれています。

一つの教義に束縛されずに世界中の人々へメッセージを送れるようになり、マイケルは「より自分らしい」表現ができるようになりました。

メッセージソングに比重が置かれる

マイケルは20代にして、Off The Wall, Thriller, Badの3作品で全てを手に入れました

アイドルグループの子役から大人のアーティストへと進化し、人種の壁を越えて認められ、歴史を塗り替える記録を打ち立てました。

そんな彼が次に目指したのは、「1000年後も聞かれるアルバム」です。

I wanted to do an album like Tchaikovsky’s Nutcracker Suite. So that in a thousand years from now, people would still be listening to it. Something that would live forever.

チャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲のようなアルバムを作りたい。今から1000年後も、まだ人々が聞いているような、永遠に生きる何かを作りたい。

マイケルジャクソン Interview with Ebony, 1992

壮大な目標を掲げたDangerousでは、リスナーに対して行動や変化を促すメッセージソングの割合が一気に増えました。

「マイケルがみんなを楽しませる」だけではなく、「マイケルの歌を聞いた人が自分の行動を変える」ことを目指したのです。

さらに「ヒールザワールド基金」を設立し、長年行っていた慈善活動を事業として本格化しました。

例えば、メイク・ア・ウィッシュという慈善団体と協力して、難病と闘う子供たちをネバーランドに招待して楽しい時間をプレゼントするイベントを何度も開催しました。

ワールドツアーの収益も、ヒールザワールド基金に一部寄付されました。

パフォーマンスと慈善事業を通じて、強いメッセージを発信しつづける基盤となった作品がDangerousなのです。

まとめ

1991年に発表されたマイケルジャクソンのアルバム”Dangerous”の魅力を4つに分けてお伝えしました。

Dangerousの魅力4つ
  • 深く切り込んだテーマ
  • ストーリー性がある
  • 七変化するパフォーマンス
  • マイケルの主体性が強い

Dangerousは、マイケルが自分をさらけ出し、深くてリスキーな表現に挑戦したアルバムです。

この面白さがあなたに伝わったならば幸いです!

あおあり
あおあり

ここまで読んでいただきありがとうございました。

参考資料

1990年生まれ。マイケルファン歴20年ほど。
もはや彼が脳内に住んでいる。
NHK BSのテレビ番組「熱中夜話 マイケルジャクソンナイト」にファンの1人として出演した経歴あり。
ファンの方も、そうでない方も楽しんでもらえる記事を書きたいです。

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