マイケルジャクソンの少年性的虐待疑惑は本当? 簡単に分かりやすく解説!

こんにちは。あおありです。
この記事では、「マイケル・ジャクソンの少年性的虐待疑惑」について、事実をもとに分かりやすく解説します。

マイケルジャクソンには

少年性的虐待の疑惑があるよね

お金を払ってもみ消したって本当?

「全ては作り話で、マイケルは被害者だ」という情報もあるよ。

どっちが本当なの?
事実が知りたい!

マイケル・ジャクソンは、11歳でメジャーデビューを果たして以来、音楽業界のトップを走り続けていました。

しかし、1993年(マイケルが34歳のとき)に、一般人の少年が「マイケルに性的虐待された」と告発。
訴訟は翌年解決したものの、この事件以降「マイケルの少年性的虐待疑惑」が繰り返し持ち上がりました。

  • マイケルジャクソンは小児性愛者で、少年を性的虐待した
  • 大金を払って疑惑を揉み消した
  • 子供たちへのマインドコントロールを行っていた

このような情報が広まる一方で、

  • マイケルは100%無実
  • マスコミの報道は嘘
  • 全ての疑惑は金目当ての陰謀で、マイケルは完全な被害者である

上記のように全く違った情報もあります。

  • 情報の内容が混乱してモヤモヤする。
  • 火のないところに煙は立たないのでは?
  • 無実であれば、和解金を払う必要はないのでは?
  • マイケルが無実なら、どうして疑惑が絶えないのか?

このように感じている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、マイケルジャクソンは無実の可能性が非常に高いです。

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警察とFBIによる徹底的な捜査の結果、マイケルの疑惑を裏付ける証拠は一つもありませんでした。
その一方で、マイケルを告発した人々の言動は矛盾だらけで、非常に信頼性が低いです。

それにも関わらず、マイケルの無実を裏付ける重要で信頼性の高い情報は意図的に隠されて、
マイケルの疑惑を盛り上げる、信頼性の低い告発が一方的に報道されています。

疑惑を曖昧なままにして、定期的にあぶり立てる方が「お金になる」ので、未解決の事件として演出されています。

この記事では、事実を知りたい方のために以下のような内容を記載しています。

  • これまでに浮上した性的虐待疑惑の一覧
  • 「和解金を支払って解決した」1993年疑惑の経緯
  • 報道されることが少ない重要な事実
  • よくある疑問と答え

この記事を書くにあたって、多くの本、ドキュメンタリー番組、ニュース記事、医学論文を参照しました。

参照した資料の一部

よくあるネット記事とは違い「だれが、いつ、どこで、何を、どのように」行ったかが明記されており、信頼性が高いです。

マイケルの児童性的虐待疑惑は本当なのか?
この記事で紹介する何十個もの事実をもとに、考えていただきたいです。

過去に浮上した少年性的虐待疑惑のまとめ

マイケルジャクソンの性的虐待疑惑が浮上した事件は、これまでに3度あります。

  • 1993年8月
    最初の告発

    当時13歳のジョーダン・チャンドラーの証言を元に、マイケルが性的虐待疑惑で警察に捜査される。
    捜査開始後まもなく情報がもれ、連日大々的に報道される。

  • 1993年9月
    上記の件で民事訴訟が提起される
  • 1994年1月
    和解が成立

    全ての訴えが取り下げられる。
    この時マイケルが多額の示談金を支払ったため、世間からは「お金を払ってもみ消した」という印象を持たれてしまう。

  • 2003年11月
    マイケル逮捕

    ギャヴィン・アルヴィーゾウ少年へ性的虐待をした疑いでマイケルが逮捕される。

  • 2004年4月
    マイケルジャクソン裁判開始

    上記の件でマイケルが起訴される。

  • 2005年6月
    全ての容疑に対して無罪判決
  • 2019年
    Leaving Neverland(邦題:ネバーランドにさよならを)公開

    過去にマイケルから性的虐待を受けたと主張するウェイド・ロブソン、ジェイムズ・セーフチャックのインタビューを中心としたドキュメンタリーが公開。
    その後Netflixでも配信された。

  • 2021年4月
    ウェイド・ロブソンの訴えは裁判所で棄却

    マイケルジャクソンの遺産管理団体に対して(「ネバーランドにさよならを」出演の)ウェイド・ロブソンが起こした性的虐待の訴えは、証拠不十分のためロサンゼルスの裁判所から棄却された

  • 2023年8月
    ウェイド・ロブソン、ジェイムズ・セーフチャックの審理が再開

    カリフォルニア州の第二地方控訴裁判所が、2人の訴えを再度受理。
    争点は「マイケルが性的虐待をしたかどうか」ではなく、「マイケルの遺産管理団体(会社)に当時の2人を守る責務があるかどうか」という不可解な内容。

1993年に起きた少年性的虐待疑惑の概要

この章では、マイケルが性犯罪者扱いされるきっかけとなった1993年の疑惑の概要をまとめます。

1993年8月、マイケルの友人だった当時13歳の少年、ジョーダン・チャンドラーが「マイケルに性的虐待を受けた」と証言。
この証言を元に警察の捜査、民事訴訟の提起が開始され、世界中の人々が注目する事件となりました。

この事件は翌年、マイケルが多額の示談金を支払い、和解という結末を迎えます。
その結果世間からは「金を払って事件をもみ消した」印象を持たれてしまいました。

しかし詳細を調べると、「マイケルからお金を奪うための、手の込んだ恐喝」と考えるほうが自然です。

人物相関

マイケルを訴えたジョーダン少年とその家族は、もともと一般人でした。
ジョーダンの実の両親が離婚・再婚した関係で、少し人物相関が複雑です。

ジョーダン・チャンドラー

1993年にマイケルから性的虐待を受けたと証言した。当時13歳。
この少年の証言のみを根拠に訴訟、大規模な捜査が行われる。
事件解決後、一度も公の場でコメントしたことはなく、現在の様子は謎。
しかしドキュメンタリー「スクエア・ワン(設定→ 字幕→ 日本語で日本語字幕が表示されます)で、ジョーダンのクラスメイトが大学生になった彼の様子を語った。成長した彼は、相変わらず熱心なマイケルオタクだった。

エヴァン・チャンドラー

マイケルから性的虐待を受けたと主張した少年の実の父親。
1993年の訴訟は、実質エヴァンの主導で進められた。
ジューン(ジョーダンの母)とは1985年に離婚。ジョーダンたちとは別居していた。
歯科医師をしながら、映画の脚本家に強く憧れていた。

ジューン・シュワルツ

ジョーダンの実の母親。
エヴァンとは離婚し、再婚相手のデヴィッド、息子のジョーダンと暮らしていた。

デヴィッド・シュワルツ

ジョーダンの継父。ジューンの再婚相手。
Rent A Wreckという車のレンタル会社に勤めていた。
1992年5月、マイケルの車が道路上で故障して困っている様子を発見し、代車を手配した。

偶然の出会いから和解までの流れ

1993年の「マイケル少年性的虐待疑惑」はどのように始まり、収束したのでしょうか。
原告のジョーダン・チャンドラーとマイケルが出会ってから、和解までの流れは次の通りです。

  • 1992年5月
    偶然の出会い

    マイケルの車が道路上で故障。レンタカー業をしていたデヴィッド・シュワルツが車を手配する。
    デヴィッドは妻のジューン・シュワルツと、その連れ子ジョーダン・チャンドラーを現場に呼んだ。
    ジョーダンがマイケルの大ファンだったので、彼を喜ばせるためだった。
    これをきっかけに連絡先を交換し、交流が始まる。

  • 1993年初頭
    家族ぐるみで親しくなる

    マイケルがデヴィッド・シュワルツの家族を自宅へ招待する。
    ジョーダン、ジューン、(ジョーダンの実父)エヴァン・チャンドラーも含め親しくなる。お互いの家に泊まるほど親しくなった。
    ジョーダンの実の両親、エヴァンとジューンは既に離婚しており、当時ジョーダンは母のジューンと暮らしていた。

  • 1993年5月頃
    エヴァンの苛立ち

    ジョーダンとマイケルは頻繁に遊んでいたが、マイケルはエヴァンを避けるようになった。
    除け者にされたエヴァンは怒り、「マイケルがジョーダンと不適切な関係を持っているのでは」と疑い始める。

  • 1993年7月8日
    録音されていたエヴァンの不審な電話

    エヴァンはデヴィッドに「マイケルを破滅させる計画」について電話で話す。会話は秘密裏に録音されていた。
    7月10日、録音された会話を聞いたマイケルの私立探偵アンソニー・ペリカーノはジョーダンと面接。ジョーダンは「不適切なことは何もない」と疑惑を否定。

  • 1993年8月4日
    2000万ドルの要求

    8月2日、エヴァンはジョーダンを自身の歯科医院へ連行。鎮静薬のアミタールを投与された後、ジョーダンは「マイケルから性的虐待された」と証言した。
    8月4日、エヴァンはマイケル関係者と面会。
    「2000万ドル払わなければ性的虐待疑惑を告発する」と言ったが、マイケルは拒否。

  • 1993年8月17日
    ジョーダンの証言をもとに通報・捜査開始

    ジョーダンと面接を行い、証言を聞いた精神科医が児童福祉局へ通報し、警察の捜査が開始される。(8月17日)
    マイケルの複数の自宅から、写真やビデオテープなどが大量に押収された。
    この情報がリークし、8月24日頃からテレビや新聞などで連日大きく報道される。

  • 1993年12月
    警察によるマイケルの身体検査

    警察により、マイケルを裸にした身体捜査が行われる。
    マイケルは「身体捜査は大きな苦痛だった。それでも自分の無実を証明するためなら警察に従う」と語った。
    一連の過剰な捜査の結果、マイケルの容疑を証明する根拠は一つも見つからなかった。

  • 1994年1月
    和解成立

    一連の事件が示談により解決する。マイケルはチャンドラー側に多額の示談金(日本円にして15億円以上と言われている)を支払った。
    マイケルは裁判で無実を証明したかったが、
    ・マイケルに不利な状況で民事裁判が始まろうとしていた
    ・裁判が5年以上続くかもしれない
    ・マイケルの体調不良  
    これらの事情を考慮し、示談解決を選んだ。

マイケルとジョーダン少年が仲良くなった理由

ジョーダンはマイケルの親戚でも有名人でもなく、偶然知り合った一般人でした。
しかし2人の間にはすぐに友情が芽生え、マイケルが海外に行く際に同行したこともありました。

一体どうしてそんなに仲良くなったのでしょうか?
本人たちによるコメントがないため、正確には分かりません。
しかし関係者の供述から、以下の2点が予測されます。

  • もともとジョーダンがマイケルの大ファンだった
  • ジョーダンがとても親切でかわいらしい子だった

ジョーダンは長年マイケルの大ファンでした。
1984年にマイケルがCM撮影中の事故で大火傷を負った時、ジョーダンはマイケルに絵を送って応援していました。マイケルは後からそれを知ってとても喜んだと予測されます。

ジョーダンを何度か見かけたジュラルディン・ヒューズさんの著書には、当時の彼の印象が記載されています。

少年はとても楽しく、愛くるしい、温かい心の持ち主で、おまけにキュートだった。

ジュラルディン・ヒューズ, 「救済」マイケルジャクソン児童性的虐待疑惑(1993年)の真相

ジョーダンは、世間がマイケルの(自らに対する)虐待疑惑について大騒ぎしている時も、弁護士事務所では音楽を聞いたり、おもちゃで遊んだりして楽しそうに過ごしていたと記載されています。

あおあり
あおあり

ここまで天真爛漫だと、一般の人と感性がずれているのでは?と思ってしまいます…

マイケルにとって、ジョーダンは「特別な輝きを持っている存在」だったのかもしれません。

(少年の父)エヴァンとマイケルが疎遠になった理由

1993年5月頃から、マイケルはエヴァンを避けるようになりました。
エヴァンが「自宅の増築」や、「映画制作の出資」などをマイケルに要求したことが原因と考えられます。

マイケルと出会う前、エヴァンはジョーダンと別居しており、育児にあまり関わっていませんでした。
6.8万ドル(当時のレートで約755万円)養育費未払いがあり、ろくに面会もしていなかったのです。
しかしマイケルと親しくなったあとに態度が一変し、頻繁に関わるようになりました。

しばらくしてエヴァンは「マイケルが過ごすための家」を自宅近くに建てるよう、マイケルに要求。
さらに映画の脚本家になる夢を実現するため、マイケルに出資金を求めました。
この要求は聞き入れられず、マイケルはエヴァンを避けるようになりました。

一方で、少年チャンドラーとその母ジューンとは交流を続けており、エヴァンは疎外感と嫉妬を募らせます。
1993年6月、エヴァンは(ジョーダンの母)ジューンに「マイケルがジョーダンに不適切な行為をしているのでは」と話しましたが、ジューンは相手にしませんでした。

エヴァンが電話で話した「計画」は極秘録音されていた

1993年7月8日、エヴァンは(ジューンの再婚相手)デヴィッドに、「マイケルを破滅させる計画」について話しました。
この会話はデヴィッドにより極秘で録音されており、後日世界中に公開されることになります。

そこには「子供に危害を加えられた親」とは到底思えない不審な言葉が並んでいます。

“It’s already set,” he said in the taped phone conversation with Dave Schwartz. “There are other people involved that are waiting for my phone call that are in certain positions. I’ve paid them to do it. Everything’s going according to a certain plan that isn’t just mine. Once I make that phone call, [attorney Barry Rothman] is going to destroy everybody in sight in any devious, nasty, cruel way that he can do it. And I’ve given him full authority to do that.”

「もう準備はできた。」彼はデヴィッド・シュワルツとの録音された電話の中でこう言った。
「しかるべき地位にいる他の人々が私からの電話を待っている。
私は彼らに(計画を)実行させるために金を払ってある。私だけにとどまらない、ある計画に沿って全ては進むだろう。
私が電話をすれば、(バリー・ロスマン弁護士が)彼のできる巧妙で、意地悪で、残酷なあらゆる手段をつくして視界の範囲にある全てを破壊するだろう。
私は彼に全ての権限をあたえてある。」

Evan continued: “And if I go through with this, I win big-time. There’s no way I lose. I’ve checked that inside out. I will get everything I want, and they will be destroyed forever. June will lose Jordie…and Michael’s career will be over….This man is going to be humiliated beyond belief. He will not believe what is going to happen to him—beyond his worst nightmares….He won’t sell one more record.”

エヴァンは続けた「そしてこれを実行すれば、私は大勝利だ。負けるわけがない。徹底的に確認したからね。私は欲しいもの全てを手に入れ、マイケルたちは再起不能になる。
ジューンはジョーダン(の親権)を失うことになる…そしてマイケルのキャリアは終わりだ…
この男はとんでもない屈辱を受けるだろう。自分に何が起きるか信じられないだろうね – 最悪の悪夢よりも酷いことが…彼のレコードはこの先1枚も売れないだろう。」

“Does that help Jordie?” Evan was asked by Schwartz. “That’s irrelevant to me,” Evan replied.

「それはジョーダンの助けになるの?」エヴァンはデヴィッド・シュワルツに聞かれた。
「それは私に関係ない。」エヴァンは答えた。

Vogel, Joseph. Man in the Music (pp.273-274). Knopf Doubleday Publishing Group. Kindle 版.

ここで読者さんに聞きたいのですが、

  • 自分の子供のために「残酷なあらゆる手段をつくして全てを破壊する」弁護士を雇いますか?
  • 自分の子供が虐待されたのに「大勝利。欲しいものを全部手に入れる。」と言えますか?

最後には「(息子である)ジョーダンの助けになるかは関係ない」と言い切る始末です。
この録音内容だけで、1993年の告発は真っ赤な嘘だと分かります。

デヴィッドがこの会話を録音した理由は、マイケルを助けるためではなく自分の保身のためだった。
エヴァンはこの会話以前に、デヴィッドの家族を殺すと脅したり、デヴィッドを直接殴ったりした。そのため、デヴィッドは身の危険を感じ、電話を録音していた。

「2000万ドルを払わなければ、疑惑を告発する」恐喝

1993年8月4日、エヴァンはマイケルに2000万ドル(当時のレートで約22億2000万)の支払いを要求しました。
「2000万ドルを支払わなければ、性的虐待疑惑について公表する」と伝えたのです。
これは「金を払え。さもなければマイケルを告発するぞ。」という恐喝と言えます。

マイケルはこの申し出を断りました。

少年の証言は鎮静薬で作り上げられたと考えられる5つの理由

ジョーダンは8月2日に「マイケルから性的虐待された」と話しました。
これは、ジョーダンがエヴァンの歯科医院でアミタールという鎮静薬を投与されたあとの出来事です。

アミタールが投与された事実は、和解成立の数ヶ月後(1994年5月頃)に報道関係者が発見し、明らかになりました。

エヴァンに依頼されてアミタールを投与した歯科麻酔医師(Mark Torbiner)は、
「ジョーダンに対する抜歯治療の際、麻酔目的でアミタールを使用した。そのときにジョーダンはマイケルから性的虐待を受けたことを告白した。」と弁明しました。

しかし、実際は「アミタールという薬剤の効果を不正に利用して、虚偽の証言を強要した」疑いがあります。
不正な手段で証言を引き出したから、薬剤を使用した事実を隠していたと考えられます。
その理由は以下の5つです。

  • 告発の直前までジョーダンは疑惑を否定していた
  • アミタールにより、虚偽の記憶を植え付けられる可能性がある
  • 小規模な歯科医院でアミタールを麻酔薬として使用することは不自然
  • エヴァンは、金銭を得るために暴力的手段を取る人物である
  • 告発の根拠はジョーダンの証言のみ

これらを順番に説明します。

あおあり
あおあり

ちなみに私は麻酔科医です。
アミタールを使用したことはないですが、

専門的知識や、実際の経験をもとに説明します。

告発の直前までジョーダンは疑惑を否定していた

1993年7月10日、ジョーダンはマイケルから性的虐待を受けた疑惑を完全に否定しています。
それにも関わらず翌月に「虐待された」と証言するのは一貫性に欠けており、信頼性が低いです。

マイケル側の私立探偵アンソニー・ペリカーノは、エヴァンの録音された電話音声を聞いた直後にジョーダンと面接しました。
「マイケルの裸を見たことがあるか?」「マイケルに触られたことがあるか?」などの質問全てに対してジョーダンは「いいえ」と答え、「お父さん(エヴァン)はお金がほしいだけ」と言いました。

しかし、翌月には「マイケルに性的虐待された」と証言。
この短期間に「何かがあった」と推測されます。

アミタールにより、虚偽の記憶を植え付けられる可能性がある

アミタールは「鎮静薬」の一つで、簡単に言うと「脳の働きが低下して、眠くなる薬」です。
手術麻酔、不眠症、精神的な病気の治療などで使用されています。
※より安全性の高い薬剤があるため、現在の日本でアミタールはほとんど使用されていません。

アミタールは1930年頃から「自白剤」として用いられることがありました。
記憶喪失症の患者に対して、失われた記憶を取り戻す効果などが期待されたのです。
アミタールを投与して、抑圧された記憶を相手に語らせようとする行為を「アミタール面接」と呼びます。
原告がアミタール面接を通じて話した内容が、裁判で証拠として使用されることもありました。

しかし多くの研究結果から、以下のような事実が明らかになっています。

  • アミタール面接で患者(原告)の話す内容は、正確性に欠ける。
  • アミタール面接中は、質問者の暗示にかかりやすい。つまり質問者によって虚偽の出来事が頭に植え込まれ、目覚めた後もそれを信じてしまう可能性がある。

August Pier Jr.が1993年に発表した論文では、1930年から1993年までに行われた、アミタール面接に関する12回の研究が検証されました。
その結果、12回の研究全てがアミタールを「自白剤」として使用することを否定していました。

自白剤として使えないどころか、アミタールの投与後は面接者の暗示にかかりやすく、虚偽の内容を話すことがある。(性的虐待などに関する)裁判の証拠として用いるべきでないと結論づけています。
参照 Piper, A. (1993). “Truth Serum” and “Recovered Memories” of Sexual Abuse: A Review of the Evidence. The Journal of Psychiatry & Law21(4), 447–471.

精神科医のフィリップ・レスニク氏は、アミタール面接によって虚偽の記憶が強力に植え付けられてしまう可能性を指摘しています。

Scientific studies done in 1952 debunked the drug as a truth serum and instead demonstrate  its risks: False memories can be easily implanted in those under its influence. 
“It is quite possible to implant an idea through the mere asking of a question,” says Resnick(Dr.Phillip Resnick). But its effects are apparently ever more insidious: 
“The idea can become their memory, and studies have shown that even when you tell them the truth, they will swear on a stack of Bibles that it happened,” he adds.

1952年の科学的な研究で、(アミタールが)自白剤であることは否定された一方で、そのリスクが明らかになった。
アミタールの影響下では、虚偽の記憶が簡単に植え付けられる可能性がある。

「ただ質問をしただけで、考えを植え付けられる可能性は十分にある。」レスニク(フィリップ・レスニク医師)は言った。

それどころか、アミタールの効果はもっと深刻になり得る。
「植え付けられた思想は彼らの記憶になり得る。
例え事実を伝えても、彼ら(アミタールを投与された人)は山積みの聖書を前にして、それ(虚偽の出来事)が起きたと誓うことがあると、いくつかの研究が示している。」

Mary A. Fischer, Was Michael Jackson Framed?

つまりエヴァンが、アミタールを投与されたジョーダンに対して、「お前はマイケルに性的虐待を受けた。そうだよな?」と聞いただけで、
たとえ間違っていても「性的虐待を受けた」記憶がジョーダンに植え付けられる。
そして、薬が切れたあとも虚偽の記憶を信じてしまうことがありうる。ということです。

小規模な歯科医院でアミタールを麻酔薬として使用することは不自然

抜歯のときは、アミタールのような鎮静薬(眠くなる薬)ではなく、通常は局所麻酔薬を使用します。
鎮静薬を使用するケースは限られている上、使う場合も「アミタール」を選択することはほぼありません。
そのため「抜歯のためにアミタールを使った」という弁明は同業者から見て非常に不自然です。

局所麻酔薬では通常眠くならず、注射された部位の周りがしばらく麻痺します。
鎮静薬よりリスクが低いため、歯科医院では基本的に局所麻酔を使用します。
しかし、以下の場合は鎮静薬を使用することがあります。

  • 抜歯の難易度が高く時間がかかりそうなとき
  • 患者がじっとしていられないとき

鎮静薬を使用すると、患者さんが危険な状態になるリスクが高いです。
小規模なクリニックではスタッフの人数も、治療に必要な物品の種類も多くありません。
どうしても患者の状態が危険に陥った場合の対応が遅れます。
そのためクリニックの歯科医師は、できるだけ鎮静薬を使用しないように、使用するとしてもできるだけ少ない量にします。

また、アミタールよりも安全性が高く、使いやすい鎮静薬があるのに、そちらを選択しないことも不自然です。

Dr. John Yagiela, the coordinator of the anesthesia and pain control department of UCLA’s school of dentistry, adds, “It’s unusual for it to be used [for pulling a tooth]. It makes no sense when better, safer alternatives are available. It would not be my choice.”

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)歯科学校、麻酔・疼痛管理部の取りまとめ役であるJohn Yagiela医師はこう付け加えた
「通常はアミタールを(抜歯目的で)使用することはない。より良く、より安全な代替手段がが使えるのに、これを使う意味はない。私は選ばない。」

Mary A. Fischer, Was Michael Jackson Framed?

自分の息子の治療に、わざわざリスクの高い種類の鎮静薬を選択するなんておかしいですね。

あおあり
あおあり

私はアミタールを使ったことはありませんが、
同じバルビツール系の「チアミラール」はたまに使います。
患者さんによっては呼吸が止まったり喘息症状が現れることがあるため、
人手の少ない個人病院では使いたくないです。

エヴァンは、金銭を得るために暴力的手段を取る人物である

歯科治療という口実でアミタールを投与する時点で、エヴァンは息子のジョーダンの命を軽んじていると言えます。

さらに、事件収束から年月が経った2006年、エヴァンがジョーダンに酷い暴力を振るっていた疑いが発覚します。

ジョーダンはエヴァンに「ダンベルで殴られた」催眠ガスを目に噴射されて首をしめられそうになった」件でエヴァンを訴えたのです。(詳しくは後述:エヴァンは、息子のジョーダンに暴行した件で告訴された)

このような暴行がいつ行われたのか不明ですが、1993年の時点でマイケルに不利な証言を引き出すために暴行していた可能性もあります。

また、エヴァンは元妻の夫であるデヴィッドを殴ったり、「家族を殺す」と脅したこともあります。

身勝手で暴力的な彼にとって、「マイケルを訴える」目的のために、息子へ不適切な薬を使用することは造作もないのでしょう。

告発の根拠はジョーダンの証言のみ

ジョーダン少年の証言を聞いたエイブラムズ医師は、彼の体に虐待された痕跡がないかを調べましたが、そのような痕跡は全くありませんでした。

その後、マイケルとその関係者が警察により徹底的に捜査されますが、何の証拠もなかったのです。

あるのは、アミタールを投与されたジョーダンの証言だけ。
告発の根拠として、あまりにも弱いです。

児童福祉局への通報から、警察の捜査へ

1993年8月17日 エヴァンはジョーダンをつれて精神科医マティス・エイブラムズの元を訪れました。
ジョーダンの証言を聞いたエイブラムズ医師は児童福祉局へ通報し、続いて児童福祉局が警察に通報。
そして、警察によるマイケルと関係者の徹底的な捜査が始まります。

警察の捜査内容
  • マイケルの複数の自宅
  • マイケルの家族,医師の家
  • マイケルと面識がある人(200人ほど、海外出張も含む)

家宅捜査は非常に乱暴で、壁やドアを壊し、マットレスを剥がし、家にあるものを根こそぎ持っていきました。

さらに1993年12月、マイケルを裸にして下半身を撮影する、苦痛の強い捜査を強行します。
一連の捜査の結果、マイケルの容疑を証明する証拠は一つもありませんでした。

“After millions of dollars were spent by prosecutors and police departments in two jurisdictions, and after two grand juries questioned close to two hundred witnesses, including thirty children who knew Jackson, not a single corroborating witness could be found.”

2つの管轄区域で検察と警察が何百万ドルも費やし、
2つの大陪審(12〜23人の陪審員で構成される機関)が、ジャクソンと面識のあった30人の子供たちを含む200人近い証人に質問した結果、
裏付けとなる証拠は一つも見つからなかった。

Mary A. Fisher, “Was Michael Jackson Framed?,” GQ, October 1994.

正確性と公平性に欠けたメディアの報道を多くの人が信じた

警察はマイケルの捜査を極秘で始めたものの、児童福祉局からマスコミへ情報が漏れたせいで、1週間後には世界的なニュースになりました。

マイケルの疑惑を報道すると、テレビの視聴率や雑誌の売り上げが急上昇するので、メディアはこの疑惑を大々的に取り上げました。

マイケルを「小児性愛者」「気持ち悪い性犯罪者」として報道するほうが視聴者のウケがよく、マイケルに不利な情報が一方的に取り上げられました。

正確性、公平性に欠けた報道をそのまま信じてしまう視聴者も多くいました。

報道合戦はどんどんエスカレートし、一部のメディア関係者は非常に悪質な行動を取り始めます。
マイケルの家族や関係者と接触し、数十万ドル(日本円に換算すると数千万円) を支払う代わりに「マイケルから虐待された」と話すように持ちかける事案が多発しました。

マイケルの友人の1人、ショーン・レノン(ビートルズのジョン・レノンとオノ・ヨーコの息子)も、メディアから接触を受けたことを話しています。

ショーン・レノンとマイケル(映画MOONWALKERより)

ショーン・レノンはメディア側の意図に反して、「マイケルが子供を虐待するなんてありえない」と一蹴しました。

Sean Lennon, son of John Lennon and Yoko Ono, was also contacted by the media but consistently asserted that nothing inappropriate happened with him. (…) It’s ridiculous, no way is Mike a child abuser. Take it from me. I knew the kids he knew. I would have known if anything funny was going on.”

ジョン・レノンとオノ・ヨーコの息子であるショーン・レノンもメディアから連絡を受けたが、彼に対して不適切なことは一切起きていないと断言した。
(中略)
「馬鹿らしい。マイケルが子供を虐待する人だなんてありえない。僕を信じて。僕はマイケルと知り合いの子を知ってたんだ。何かおかしいことが起きてたら、僕も知ってたはずだよ。」

Joseph Vogel. Man in the Music (p.276). Knopf Doubleday Publishing Group. Kindle 版. 

マイケルが和解を選択した理由

マイケル側の弁護士チーム内では、

  • 徹底的に無実を訴え、エヴァンを恐喝の罪に問う
  • 和解をして収束を目指す

2つの方針で意見が分かれていました。しかし、

  • 明らかにマイケルに不利な状況で民事裁判が始まろうとしていた(詳しくは後述: 無罪であれば示談金を払う必要はないのでは?
  • 5年以上裁判が続く可能性がある
  • 判決が出るまでマイケルが捜査の対象になり、プライバシーが侵害される。
  • マイケルは鎮痛剤依存症をわずらい、精神的・健康的状態が悪化していた

上記を考慮して、最終的に「示談金を払い、和解する」ことで決着しました。

あまり報道されないマイケルに関する重要な事実5つ

ここでマイケルの捜査や、マイケルを告発した人達に関する重要な事実を5つ挙げます。

  • FBIが10年以上捜査した結果: マイケルは無実
  • (93年原告少年の父)エヴァンは、息子のジョーダンに暴行した件で告訴された
  • (93年原告少年の父)エヴァン・チャンドラーは自宅で孤独に拳銃自殺した
  • (2005年原告少年の母)ジャネット・アルヴィーゾウは福祉詐欺で有罪判決
  • 「ネバーランドにさよならを」出演者2名の告訴は、裁判所に棄却された

読者のみなさん、この事実のうち、いくつを知っていましたか?
日本ではほとんど報道されていませんね。

これは「マイケルに有利な情報」「マイケルの告発者に不利な情報」が、極端に規制されている現実を物語っています。

FBIが10年以上捜査した結果: マイケルは無実

FBIとはアメリカの警察機関です。通常の警察と異なり、州をまたいで活動できます。
FBIは1992年から2005年に渡り、彼を複数回調査していたことが、マイケル死後に判明しました。

具体的には、マイケルのコンピューターを解析する捜査などを行いましたが、児童虐待や児童ポルノなどの証拠はいっさいありませんでした。

the FBI was also conducting its own independent investigation of Jackson. Its three-hundred-page file on the pop star, released under the Freedom of Information Act in 2009, found nothing incriminating.

FBIもまた、ジャクソンに対する独自の調査を行った。情報公開法のもとで2009年に公開された、このポップスターに関する300ページのファイルには、有罪を示す証拠は全くなかった。

Joseph Vogel. Man in the Music (p.280). Knopf Doubleday Publishing Group. Kindle 版. 

(93年原告少年の父)エヴァンは、息子のジョーダンに暴行した件で告訴された

1994年、マイケルがジョーダン・チャンドラーを性的虐待した疑惑が和解に終結したあと、ジョーダンの親権は父のエヴァン・チャンドラーが取得しました。

しかし2006年、ジョーダンはエヴァンから暴行されたと訴え、彼の元を離れます。
暴行の内容は「ダンベルで殴る」「首をしめようとする」など、命の危険が伴う恐ろしいものでした。

In 2006, he claimed Chandler attacked him with a dumbbell and got a restraint order.
He also said Chandler squirted a substance like pepper spray in his eyes and tried to choke him.

2006年、ジョーダンはエヴァンにダンベルで殴られたと訴え、接近禁止命令を出させた。また、ジョーダンは催眠スプレーのようなものを目に噴射され、首をしめられそうになったとも言った。

Michael Jackson sex case dad Evan Chandler wanted justice but ended up destroyed, Mirror

このような暴行がいつ起きたのかは分かりません。しかし93年にマイケルが訴えられた時期にも、父のエヴァンから暴行されていた可能性はあります。

(93年原告少年の父)エヴァンは自宅で孤独に拳銃自殺した

マイケルが亡くなってわずか数ヶ月後の2009年11月、エヴァン・チャンドラーは自宅で孤独に拳銃自殺しました。

大金を手にして豪華な家に住んでいた彼ですが、夢だった映画脚本家の仕事はできず、マイケルファンからの脅迫に怯えながら何度も顔の整形手術を繰り返していました。

(2003年原告少年の母)ジャネット・アルヴィーゾウは福祉詐欺で有罪判決

2003年、マイケルは当時13歳だったギャビン・アルヴィーゾウを性的虐待した疑いで逮捕・起訴されました。
2005年6月、全ての起訴内容について無罪判決が出され、マイケルは自由の身に。

すると今度は、ギャビンの母であるジャネット・アルヴィーゾウが、2001年から2003年の間に政府からの給付金18000ドル(当時の為替で200万円以上)を不正に受け取っていた件で検挙されたのです。

“This helps confirm what we were saying through the trial, which was the accuser and his family lacked credibility and that the charges were false,” Mesereau said.

「この件は、我々が裁判を通じて主張してきた、告発者とその家族は信頼性に欠けており、(マイケルに対する)告訴は偽りだったということを裏付ける要素になる。」
(マイケルの弁護士を務めた)メゼロウは言った。

Jackson Accuser’s Mother Charged – LA Times
あおあり
あおあり

ここまで知ると、マイケルを犯罪者と告発した人たちのほうが、

犯罪者っぽいよね。

参照 Jackson Accuser’s Mother Charged – LA Times

「ネバーランドにさよならを」出演者2名の告訴は裁判所から2回棄却された

マイケルの死後10年経ってから公開された「ネバーランドにさよならを」は、ウェイド・ロブソンとジェイムズ・セーフチャックの2人が「過去にマイケルから受けた性的虐待」を告発する番組です。

この2名は性的虐待に関して、マイケルジャクソンの会社「MJJ Productions」と「MJJ Ventures」を提訴しましたが、2021年裁判所は全ての訴えを棄却しました。

記事の末尾にあるマイケル側弁護士のコメントを参照すると、「多量の資料を長年にわたり審議した結果の棄却」であることが予測されます。

“Wade Robson has spent the last eight years pursuing frivolous claims in different lawsuits against Michael Jackson’s estate and companies associated with it,” Steinsapir said. “Robson has taken nearly three dozen depositions and inspected and presented hundreds of thousands of documents trying to prove his claims, yet a Judge has once again ruled that Robson’s claims have no merit whatsover, that no trial is necessary and that his latest case is dismissed.”

ウェイド・ロブソンはこれまでの8年間、マイケルジャクソンの遺産管理会社と、関連する会社に対して複数の訴訟を起こして、この根拠ない訴えを続けてきた。
ロブソンは36回近くの宣誓供述を行い、自らの訴えを証明するために大量の書類を提出した。
しかし判事は再度ロブソンの訴えにメリット(実体的な根拠)がないことに変わりはないと判断した。審理の必要はなく、今回の訴訟は棄却されたのだ。

マイケル側弁護士のコメント

(2023年9月追記) 
2023年8月、カリフォルニア州の控訴裁判所は、ロブソンとセーフチャックの訴えを再び受け入れることが報じられました。
ここで問題になっているのは「(被告である)MJJ ProductionsとMJJ Venturesに、当時子供であったロブソンとセーフチャックを守る責務があったのか」という内容。
参考 Michael Jackson sexual abuse lawsuits revived by appeals court

  • 「虐待の事実があったのか」「証拠があるのか」という議題について報じるニュースが見当たらない
  • 「マイケル関連会社に責任があるか」という議題に対する裁判所の決定が何度も入れ替わる。

以上の2点が、法律に詳しくない一般人としては非常に不自然と感じます。
そのため、私にはこの件を理解することが困難です。
現時点でこの訴訟は未解決で審理中という事実しか分かりません。

よくある疑問と答え

マイケルについてあまり詳しくないけど「マイケルって怪しいよね」「多分クロだよね」と言う人は、以下のように考えていることが多いです。

  • 火のないところに煙は立たないのでは?
  • 警察が家宅捜査、逮捕している場合、有罪の可能性が高いのでは?
  • 無罪であれば、示談金を払う必要はないのでは?
  • どうして子供たちとばかり一緒にいたのか?
  • なぜマイケルの小児性愛疑惑がなくならないのか?

上記の疑問を一つ一つ掘り下げていきます。

火のないところに煙は立たないのでは?

日本には「火のないところに煙は立たない」つまり、「全く根拠のないところにうわさは立たない」という言い伝えがあります。

そのため、「マイケルはこれだけ何度も告発されているんだから、何かしら悪いことをしてるんじゃないの?」と考える人が多いでしょう。

しかし、実際は火のない所に煙が立つこともあります。
全く間違った話が真実のように報道され、視聴者が鵜呑みにしてしまうことは珍しくありません。

例として、「マクマーティン保育園事件」「中島知子さん洗脳疑惑」の2つを挙げます。

マクマーティン保育園事件

1984年アメリカ、カリフォルニア州の保育士が、園児に性的虐待をした疑いで起訴された。
多くのメディアは裁判が始まる前から被告を犯罪者扱いしたが、被害者とされる子供たちの証言は支離滅裂であった。
物的証拠はなく、冤罪だったことが裁判で明らかになり、複数の被告は全員無罪判決。
しかし起訴された保育士たちはこの事件のせいで職業も財産も失った。
事件の影響はアメリカ全土におよび、全国の保育士がとばっちりを受けた。

参考 マクマーティン保育園裁判 -Wikipedia

中島知子さん洗脳疑惑

2011年に日本で大きな話題になった、タレント: 中島知子さん(元オセロ)の洗脳疑惑。
中島さんは、事務所からの独立問題や家族との金銭トラブルの最中で、「占い師に洗脳されている」と報道された。
この影響で、数多くあったテレビ出演などの仕事が激減。中島さんの急激なイメージダウンにつながった。
しかし実際は全て虚偽の報道で、後に中島さんはメディア側を提訴し、勝訴した。
事件から長い時を経て、中島さんは再びテレビ出演のオファーをたくさん受けるようになった。

参考 誹謗中傷報道に苦しみ裁判で勝訴ーー中島知子が語る「別府移住で笑顔を取り戻すまで」

このように、火のないところにも煙は立ちます。

なぜ、マイケルの少年虐待疑惑を多くの人が簡単に信じ、受け入れたのでしょう?
理由は以下の4つと考えられます。

  • 子供たちと多くの時間を過ごすマイケルの行動が理解できない
  • 有名人が凋落する姿を見るのが面白い
  • 無双状態で活躍する黒人マイケルへの嫉妬や反感
  • 「過剰な捜査で税金を無駄遣い」という非難から逃れたい警察や検察

一つずつ検討していきます。

子供たちと多くの時間を過ごすマイケルの行動が理解できない

マイケルが多くの子供たちと一緒に過ごす姿をみて「理解できない。気持ち悪い。」と感じる人が多くいます。
彼らは「こんなにたくさんの子供たちと一緒に過ごすのは、小児性愛者だからに違いない」と考える傾向にあります。

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マイケルの姿に嫌悪感を持つのは個人の自由です。しかし、「彼が子供たちと過ごしている」から「彼は小児性愛者である」と決めつけるのは論理の飛躍であり、間違っています。
参照 どうしてマイケルは子供たちと一緒にいたのか?

マイケルが20代の頃から「ゲイ疑惑」「女性ホルモンを注射している疑惑」が報道されていたことも、彼のイメージに影響しているでしょう。
これはメディアが勝手に作り上げた話であり、マイケルは何度も否定しましたが、おさまることはありませんでした。

有名人が凋落する姿を見るのが面白い

成功している人、有名な人が突然落ちぶれていく姿を、人々は喜んで見る傾向にあります。
「この人はこんな良いことをしている。素晴らしい。」と言っているだけではつまらないのです。
マイケルのスキャンダルは格好のエンタメでもありました。

無双状態で活躍する黒人マイケルへの嫉妬や反感

マイケルは圧倒的に成功していたため、彼に対する嫉妬や反感も当然ありました。
とりわけ、「白人は有色人種よりも優れているべき」と考える人々にとって、マイケルの存在は不愉快でした。
白人のスターであるエルビス・プレスリーやビートルズなどが打ち立てた記録をいくつか更新し、止まらない勢いだったマイケル。

  • マイケル宅の壁やドアを破壊するなど、必要以上に暴力的な警察の捜査
  • 明らかにマイケルの権利を軽視した裁判所の決断
  • メディアの一方的なマイケルへの攻撃

このような状況から、マイケルを引きずり降ろそうとする見えない陰謀があったのでは?と考えずにいられません。

「過剰な捜査で税金を無駄遣い」という非難から逃れたい警察や検察

警察はマイケルの捜査に多くの時間と労力を費やしました。
捜査費用の財源は市民の税金なので、住民からは当然厳しい意見も出るでしょう。

  • 捜査のために多額の税金がつぎこまれている
  • 他に重要な任務があるのに、警察の労力と時間がマイケル捜査に費やされている
  • 過剰な捜査はマイケルの人権侵害にあたる
  • 「有色人種に対する警察の暴力」が問題になっている(参照 ロドニー・キング事件

このような批判がある中で、「捜査の結果、マイケルの疑惑を裏付ける証拠は一つもなかった」と言うのは警察側にとって非常にバツが悪いのです。

そのため、警察は捜査の結果について大きく触れず、メディアはマイケルが強制捜査された場面だけを強調。

視聴者の頭にはテレビで流れた強制捜査のシーンが強く焼き付いているので、「マイケルは犯罪者」のイメージを持ちやすくなります。

警察が家宅捜査、逮捕している場合、有罪の可能性が高いのでは?

警察が家宅捜査や逮捕しているときって、その時点で大体クロですよね?
「家宅捜査したり、逮捕したけど、証拠はありませんでした」ということはほとんどないです。

マイケルは1993年と2003年に大規模な家宅捜査を受けています。また2003年には手錠をかけられ逮捕されたニュースが大々的に報道されました。
この場面を見ただけで多くの人はマイケルが犯罪者だと考えてしまいます。

しかし、1993年と2003年の家宅捜査では証拠なし。
2003年の裁判では、原告側証言の矛盾が裁判で明らかになり無罪判決。
さらにマイケルの死後に公表された、10年以上に渡るFBIの捜査結果でも何ひとつ児童ポルノや性的虐待の証拠は見つかっていません。

マイケルが家宅捜査を受け、逮捕された経歴があることは事実ですが、彼が有罪であることを示す根拠は一つもないのです。

無罪であれば、示談金を払う必要はないのでは?

1993年にマイケルが児童性的虐待で告訴された事件は、マイケル側が示談金を払って和解しました。
「裁判をして白黒つける」という選択をしなかった理由には、次のようなものがあります。

  • 5年以上にわたり裁判が続く可能性がある
  • 判決が出るまでマイケルが捜査の対象になり、プライバシーが侵害される。
  • マイケルは鎮痛剤依存症をわずらい、精神的・健康的状態が悪化していた

もう一つの大きな理由は、

「刑事裁判より先に民事裁判が実行されそうになっていた」
つまり、マイケルの公正な裁判を受ける権利が侵害されそうな状態になっていたからです。

あおあり
あおあり

まったく意味不明ですね。

分かりやすく説明します。

マイケルがおかれた状況を分かりやすくするために、裁判を「試合」に例えてみます。 

想像してください。

あなたがこれから、戦略が重要になる試合(野球、サッカー、バレー、将棋など)をすると仮定します。その時、

  • 試合の数ヶ月前に、全ての作戦を話さなければいけない。
  • 相手チームは、こちらの作戦を全て邪魔することができる。
  • 審判は常に相手チームに有利な判定をする。
  • その試合に負けたら、刑務所に入れられる。

この状態で試合に出る勇気はありますか?
お金を払って終わりにできるなら、そちらを選択しませんか?

マイケルがチャンドラーから「民事訴訟」を起こされたとき、検察はマイケルの「刑事捜査」を続けている状態でした。

民事訴訟とは

原告(民間人、組織など)が被告に訴えを起こす。相手に金銭を求める。

刑事訴訟とは

州、政府が被告を訴える。有罪となった場合は刑事罰(罰金、懲役、死刑など)が与えられる。

民事訴訟では、伝聞証拠や状況証拠も認められますが、刑事訴訟では認められません。
マイケルとその周囲をいくら捜査しても、警察は物的証拠を見つけられなかったので、刑事訴訟は起こせませんでした。

このような経緯で、刑事訴訟よりも先に民事訴訟が起こされたのです。
民事訴訟が先行した場合、マイケルの人権がどうして危険にさらされるのでしょうか。
ドキュメンタリー「スクエア・ワン」で、ジャーナリストのチャールズ・トムソンは以下のように説明しています。(設定 → 字幕 → 日本語で日本語字幕が表示されます)

The problem with this is that if you have a civil case which comes before the criminal case and you are forced to give away your defense then what that does it gives the prosecutors a front-row seat to your defense. 
They can then go and tailor their criminal case to circumvent your defense case.

ここで問題になることは、刑事訴訟の前に民事訴訟が起きてしまうと、
被告は、(民事裁判の答弁で)自らを弁護する内容を強制的に供述させられる。
すると、検察官は弁護側の主張を最前列の座席で観覧できる。
そのあと検察側は、弁護側の主張を回避できるように、刑事事件を調整しにいくことができる。

So for example, if you say “I have an alibi” in the civil case then the prosecutors can go and tailor their criminal case where they change all the dates
and they could just change their case to get around it. 

例えば、被告が民事裁判で「自分にはアリバイがある」と言ったら、
検察官たちは刑事事件の日付を全て変えて調整し、被告の主張をかわせるように事件を変えられる。

If you have a witness, they go discredit that witness or they put it on a day when that witness was not there.

被告側に証人がいれば、証人の信用を落としたり、その証人が居ない日に事件を設定することができる。

They just take out your defense chunk by chunk 
so by the time you come into a Criminal Court where the only, where your life is on the line, 
your freedom rather than your bank balance, you have no defense. 

彼らは被告側の弁護をひとつひとつ取り除くだけだ。
すると刑事裁判にかけられるまでには、被告の資産でなく人生と自由がかかっている場面で、
弁護ができなくなる。

Charles Thomson

例えば、民事裁判で原告が「マイケルが1月1日に犯罪を行った」と告発したと仮定します。
それに対してマイケル側が「1月1日にはアリバイがあります。Aさんもいう証人もいます。」と反論できれば、勝訴するチャンスがあります。

しかし、その後の刑事裁判で「(マイケル側のアリバイもない、証人もいない)1月2日に犯罪が行われた」と検察側が主張をひるがえした場合、マイケル側は弁護ができなくなる事態におちいる可能性があります。

事実は一つしかないはずなのに、「検察側が日付を変える」なんておかしいですよね。
しかし、刑事事件の取材を多数行ってきたチャールズさんは、当たり前のように「(検察が)被告の主張をかわせるように事件を変える」と発言しています。
このような不正が行われるのは日常的なことなのでしょう。
本来は犯罪の被害者を助けるための裁判なのに、検察側は「勝利すること」だけに集中しているように見受けられます。

このような理由で、「刑事訴訟の前に民事訴訟が起こされること」は「大事な試合(刑事訴訟)の前に、(民事訴訟の段階で)全ての作戦をばらされる」状況に似ています。

これは非常に不公平なので、刑事訴訟が解決する前に民事訴訟が起こることは通常ありません。

マイケルの状況とよく似た過去の判例、つまり「刑事訴訟を起こされそうな状態で、民事訴訟を起こされた」ケースの多くで、「刑事訴訟が解決するまで、民事訴訟を延期するべき」という結論に至っています。
過去の判例 Pacers,Inc v. Superior Court(1984), Campbell v. Eastland(1962), Perez v. McQuire(1964), Paul Harrigan&Sons, Inc v. Enterprise Animal Oil Co. (1953), Dustin W. Brown v. Superior Court(1986) など

マイケル側の弁護士は、過去の判例などを根拠に、「刑事訴訟が解決するまで、民事訴訟の手続きを延期するべき」と裁判所に申し出ました。

これに対しチャンドラー側は、ジョーダンが未成年ということを理由に、「迅速に裁判を始めるべき」と主張。
これは、「原告が14歳未満の場合は120日以内の迅速審理が要求できる」というカリフォルニア州の法律に基づいています。
この法律は、幼い子供は過去の出来事を忘れやすいため、迅速に裁判を進めるべきという意図で制定されました。

マイケル側チャンドラー側
主張刑事裁判が決着するまで、民事裁判を始めてはいけない民事裁判を迅速に始めるべき
理由マイケルの公正な裁判を受ける権利が侵害されるから原告少年が未成年だから
根拠アメリカ合衆国憲法修正第5条「二重処罰の禁止」
「ペイサーズ社 対 上位裁判所」などの判例
カリフォルニア州民事訴訟法第36条:
被害を受けた民事訴訟当事者が14歳未満の場合、
120日以内の迅速審理が要求できる
参照:救済 マイケル・ジャクソン 児童性的虐待疑惑(1993年)の真相

現実的には、ジョーダンのように13歳まで成長していれば、簡単に過去の出来事を忘れやすいこともないのでは?と考えられます。

そして、ジョーダンの年齢にかかわらず、刑事裁判の前に民事裁判が始まれば、マイケルの「公正な裁判を受ける権利」がおびやかされることに変わりはありません。
つまり、双方の主張は相反する内容ですが、両方尊重されるべきです。

これに対し、裁判所はマイケル側の主張を退けて、デポジションの強制申立てを決定しました。
※デポジションでは、「事件について知ってること」を全て話さなければいけません

裁判所の決定
  • 【原告側】 優先審理の申し立て→ 認容
  • 【マイケル側】ディスカバリー(証拠開示)および審理の延期申し立て→ 却下
  • 【原告側】マイケルのデポジション強制申し立て→認容
  • 【マイケル側】裁判所の決定の延期要求→却下

この結果を受けマイケル側の弁護士は、裁判所が明らかに原告側(チャンドラー側)に有利な働きをしていると察しました。

この時マイケル側の弁護士は「エヴァン・チャンドラーとロスマン弁護士が(お金を払わなければ性的虐待を告発すると)マイケルを恐喝した」と反訴していました。
しかし、チャンドラーたちの恐喝容疑に関する警察の捜査は非常に消極的でした。

裁判所や警察は本来、国民の人権を尊重し、公平であるべき組織です。
しかし、このケースに関しては、明らかにマイケルに不利で、彼の人権を軽視する不公平な対応が続きました。
これは、スポーツの試合で審判の判定が明らかに偏っているケースに似ています。

このままでは、マイケルが有罪判決を受けるリスクもゼロではない…
マイケルと彼の弁護団は長い話し合いの結果、デポジションを命令された日の直前に「和解」を選択しました。

どうしてマイケルは子供たちと一緒にいたのか?

マイケルは、多くの子供たちを家に招き、一緒に時間を過ごしました。
これは少し変わった行動で、他人からは理解しがたいかもしれません。
「子供とずっとにいるなんて気持ち悪い」「きっと小児性愛者なんだ」と疑う人もいるでしょう。

しかし、マイケルが置かれた特殊な環境を考えると、普通の人には理解できない行動をするのも無理はありません。

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マイケルは5歳で音楽を始めてからずっと働き詰めで、有名になったあとは気軽に外に出られず、常に缶詰の中にいるような生活でした。
「子供のように、のびのびと生きる」「1人の人間として自分と接してくれる相手と過ごす」
こういったことに強い憧れを持っていたのです。

マイケルはインタビューなどで、「どうして子供たちと一緒にいるのか」を何度も説明してきました。
彼の言葉から読み取れることは以下の2つです。

  • 子供時代を取り戻したい
  • 純粋無垢な子供たちと一緒にいると、癒される

子供時代を取り戻したい

1993年2月、オプラ・ウィンフリーとのインタビューで、マイケルは「どうして子供たちといつも一緒なのか」説明しました。

People wonder why I always have children around, because I find the thing that I never had through them, you know Disneyland, amusement parks, arcade games. I adore all that stuff because when I was little it was always work, work, work from one concert to the next

みんなは僕がどうしていつも子供達と一緒にいるのか、不思議がっている。
それは、(子供たちのなかに)僕が経験できなかったことを見出すからなんだ。
たとえば、ディズニーランド、遊園地、ゲームセンターとか。
僕はこう言ったもの全てに憧れているんだ。僕た小さい時はコンサートの連続で、ずっと働いていたからね。

幼い頃のマイケルは、同年代の子供たちが学校に行ったり、公園で遊んだり、パーティーをしたり、旅行を楽しんだりする様子を見て、悲しくなっていました。
このようにささやかな楽しみに対して、強い憧れを持っていたのです。

純粋無垢な子供たちと一緒にいると、癒される

マイケルの自伝「MOONWALK」の編集者Shaye Areheartは、同書のあとがきで以下のように記しました。

Michael loved being in the company of children, because, as he told me many times, “Children don’t lie to you. Children are pure and innocent and good. Being with children is like being blessed, like being with angels.”

マイケルは子供たちと一緒にいる時間が好きでした。
その理由を、何度もこのように話したのです。
「子供たちは嘘をつかない。彼らは純粋無垢で、親切だ。子供達といると、まるで天使たちといるようで、神に祝福されているみたいだ。」

Shaye Areheart , Moonwalk (p.294). Crown. Kindle 版より

マイケルが心を許せる大人の数はほんのわずかでした。
仕事仲間には恵まれていましたが、マイケルと「普通の友達」になれる大人はほとんどいなかったでしょう。
ほとんどの人がマイケルを目の前にすると、丁重に扱ったり、遠慮したり、逆に彼から何かを得ようとしたり…「対等な関係」を築くのは困難でした

その反面、多くの子供たちはマイケルと分け隔てなく接してくれるので、マイケルも安心できたと考えられます。

なぜマイケルの小児性愛疑惑がなくならないのか?

マイケルの性的虐待疑惑の根源となった1993年の疑惑に関しては、上記のように原告の不審な言動が多く、金銭目当ての恐喝だった疑いが濃厚です。

2004年から2005年に渡るマイケルジャクソン裁判では、原告側の支離滅裂な証言が全て記録されており、マイケルは無罪判決を受けています。

警察による徹底的な捜査と、長年にわたるFBIの極秘捜査の結果、マイケルの疑惑を裏付ける証拠は一つもありません。(参照:FBIが10年以上捜査した結果マイケルは無実)

マスコミはこのような事実を報道しないばかりか、根拠に乏しい情報を繰り返し記事にしています。
その理由は以下の2つです。

  • マイケルの無実を100%証明することはできないから
  • 疑惑が話題になると金儲けできるから

マイケルの無実を100%証明することはできないから

「無罪を証明」することは難しい

マイケルを含め、全ての人間の無実を証明することはほぼ不可能です。
あなたが生まれてから今まで、一つの犯罪も行っていないと証明することはできますか?
たまたま捕まっていないだけで、誰も見ていないところで何か悪いことをしているかもしれない。と言われたら、反論できませんね。

もしもあなたが生まれた時から、全ての行動を複数の方向からビデオ撮影されていたら、100%無罪が証明できるかもしれません。しかしそんなことはほぼ無理です。
だからこそ、「疑わしきは罰せず」つまり「事実が明らかになるまでは、誰でも無罪として扱う」ことが原則なのです。

疑惑が話題になると金儲けできるから

ニュースサイト、テレビ、雑誌など、あらゆるメディアで「マイケルの性的虐待疑惑」が報じられるたびに、お金が発生しています。
「マイケルはおそらく無実でしょう」「根拠に乏しい報道はやめましょう」と言ったら、ニュースがつまらなくなって視聴者が離れてしまうので、延々と曖昧な表現を続けて疑惑を焚き付けるのです。

「僕はマイケルに虐待された…その驚きの内容とは!!!???」

みたいな内容の方が受けがよいです。そして視聴率や閲覧数が増えれば、スポンサーが出している広告の閲覧数も増えて、利益につながります。

性的虐待疑惑が浮上する以前から絶えなかった「マイケルのゴシップ」がこの40年以上にわたって生み出した経済効果は計り知れません。

マイケルのゴシップ記事が量産され、それを視聴者が消費するたびに、メディアと広告主は何度でも利益を得られるです。

結論: マイケルは無実の可能性が非常に高い

私は、マイケルジャクソンは「ほぼ100%無実」と考えています。
なぜなら、徹底的な捜査の結果、有罪を裏付ける証拠は一つもないからです。
自分を含め、そこらへんを歩いている一般人よりも有罪の可能性は低いでしょう。

仮に有罪であれば、マイケルは完全犯罪を実行したことになります。
警察・FBIの捜査、多くの関係者、マスコミの目を何年も盗んで、性犯罪を行う。
それができる確率は何パーセントでしょうか?
私には計算できませんが、天文学的に低いのではないでしょうか。

この記事ではあまり言及しなかった、私がマイケルを信じる一番の理由は、「マイケルの数十年にわたる発言と行動にいっさい矛盾がない」ことです。

マイケルの母キャサリンによると、ある日まだ若いマイケルは、テレビでアフリカの恵まれない子供たちを見て悲しみ、「将来はこの子たちを助けたい」と言ったそうです。

大人になったマイケルは、継続的にあらゆる慈善団体へ寄付するだけでなく、世界各国の病院や学校などの施設を直接訪れて多くの人を喜ばせました。

2003年12月、マイケルが少年の性的虐待疑惑で逮捕されたあと、インタビューに応じたマイケルは開始直後に「僕はそんなこと絶対にしない。子供を傷つけるぐらいなら自分の手首を切る。」と強く否定しています。

「どんなに素晴らしい作品を作って、寄付をして、良い発言をしていても、マイケルが無実の証拠にはならない」という意見もあるでしょう。

しかし、40年もの間、世界中からある意味「監視」された人生のなかで、完璧に嘘をつきつづけることは可能でしょうか?私は難しいと考えます。

マイケルは「最も多くチャリティーを援助したポップスター」としてギネス記録を保持している

一方でマイケルを告発した人々の言動は不自然で、一貫性がなく、信憑性が非常に低いです。
このような状況にも関わらず、いまだに「マイケルは小児性愛者で少年を性的虐待した犯罪者」というイメージは無くなりません。
彼自身はもう反論できないにもかかわらず、繰り返し報道されつづけています。

マイケルを好きじゃない、気持ち悪いと思う人がいることは理解できます。
しかし、嫌いだからといって、根拠もなく犯罪者呼ばわりするのは許されません。

この記事を読んだあなたの中で、少しでもマイケルのイメージが変わればと願います。

参考資料 – さらに詳しく知りたい人向け

この記事では、マイケルに向けられた疑惑について出来るだけ詳しく分かりやすく記載しました。
しかし全てを網羅すると大変な量になるため、かなり要約されています。

「ここはどう言う意味?」「この件に関してはどうなった?」など、もっと詳しく知りたい方には以下の情報源をおすすめします。

  • スクエア・ワン(ドキュメンタリー)
  • マイケルジャクソン裁判
  • マイケルジャクソン全記録
  • 救済 マイケル・ジャクソン 児童性的虐待疑惑(1993年)の真相
  • Man In The Music
  • Was Michael Jackson Framed?

スクエア・ワン

2019年に発表された、マイケルの1993年の疑惑の一部始終を明らかにするドキュメンタリー。
多くの関係者、有識者の証言をもとに展開する信頼性の高い作品です。
2022年、有志のマイケルファンたちにより日本語字幕が制作され、日本人でも見やすくなりました。(設定 → 字幕 → 日本語で日本語字幕が表示されます)
これを制作したダニー・ウーは、2019年公開「ネバーランドにさよならを(マイケルに虐待されたと主張する2人のインタビューを中心とした映像)」の内容をはじめは信じていたそうです。
しかし詳しく調べると、疑惑は嘘でむしろマイケルが被害者という結論にいたり、このドキュメンタリーが制作されました。

マイケルジャクソン裁判

Amazonページ:マイケルジャクソン裁判

2004年から2005年にわたって行われた「ギャビン・アルヴィーゾウ 対 マイケルジャクソン」の裁判の記録。
法廷で、「誰が、どんな発言をしたか」記録されています。
著者のアフロダイテ・ジョーンズさんはアメリカの有名ジャーナリストで、この裁判中に「マイケルは有罪」と予測する発言をテレビで繰り返しました。
無罪判決が出た後、彼女自身が偏向報道をしていたことに気づき、この本を執筆されました。

マイケルジャクソン全記録

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何年何月何日、マイケルがどこで何をしていたか、どんな発言をしたか。延々記録されている本です。
「なんか無味乾燥としてつまらなさそう」て思いますよね?
でも違います。マイケルの行動から彼の思いが伝わり、じわじわと込み上げてくるものがあります。
全記録といっても「公の姿」のみ記載されているため、これをもってマイケルが無罪である証拠とはなりません。
しかし、何十年と変わらない「子供たちを助けたい。世界をより良くしたい。」発言と、多額の寄付をするだけでなく、超多忙スケジュールの合間を縫って世界各地を訪問した記録を見ていると…
「この姿が全部見せかけで嘘のマイケルだった」なんて、ありえるの?と思ってしまいます。

救済 マイケル・ジャクソン 児童性的虐待疑惑(1993年)の真相

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1993年にマイケルを訴えた原告少年の父、エヴァン・チャンドラーの弁護士を務めたバリー・ロスマンのもとで働いていたジェラルディン・ヒューズさんによる暴露本。
原告側チームと直接関わってきた彼女は、最初の段階で「これはマイケルに対する脅迫」と確信します。
エヴァンとロスマン弁護士の会話を直接聞くことはほとんどできなかったものの、彼女はわずかな手がかりや、外から得た情報をもとに事件の真相を暴いています。
著者さんが法律業界のプロなので、他のソースでは見られない法律家の視点に立った見解が読めます。

Man In The Music

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音楽ジャーナリストのジョセフ・ヴォーゲル著、マイケルの曲をひたすら解説するマニアックな本。
音楽の話がメインなのに、マイケルの児童性的虐待疑惑についても超詳しく書かれています。
2011年に出版された初版は日本語訳されていますが、私は2019年に発表された第2版(大幅加筆、英語のみ)を参照しました。

Was Michael Jackson Framed?

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1994年にアメリカのGQという雑誌に掲載された、1993年のマイケル少年性的虐待事件の真相に迫る記事。
著者のMary A. Fischerさんは、関係者の過去の経歴まで詳細に調べ上げています。
上記で紹介したスクエア・ワン、救済、Man In The Musicも、この記事をベースにした内容が散見されます。

1990年生まれ。マイケルファン歴20年ほど。
もはや彼が脳内に住んでいる。
NHK BSのテレビ番組「熱中夜話 マイケルジャクソンナイト」にファンの1人として出演した経歴あり。
ファンの方も、そうでない方も楽しんでもらえる記事を書きたいです。

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